気になる目の病気 ≫ 糖尿病性網膜症

最近、患者数が増えている病気の一つに、糖尿病があります。
国内の患者数は約850万人以上もいると言われています。 予備軍も入れると1800万人、成人の5人に1人の割合になります。 糖尿病は合併症が怖い病気で、特に腎臓、神経、目に起こります。 目では、カメラのフィルムにあたる網膜に障害(糖尿病性網膜症)が起こり、ひどくなると失明する危険があります。





   
糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が続く病気です。健康な人は、食事後すい臓からインスリンが分泌され、食べたものに含まれる糖分をエネルギーに変えます。糖尿病の人は、このインスリンの量や働きが低下してしまいます。
血糖値が多少高いくらいでは、自覚症状がほとんどないため、治療しないで放置している人も少なくありません。糖尿病は完治する病気ではありませんが、正しい治療を続ければ健康な人と変わらない生活を送ることが出来ます。


   
目の奥にある網膜には、細かい血管が全体に張り巡らされています。
血糖値が高い状態が続くと血管に多くの負担がかかり、血液の流れが悪くなってきます。毛細血管が密集している網膜は、高血糖の影響を受けやすくなってきます。初期では、網膜中の毛細血管が硬くなり、こぶのように膨らんだり傷ついたりします。その結果、出血したり、血液中の血漿がもれたりします。さらに病状が進んでくると、硬くなった血管が詰まり、出血が起こりやすくなってきます。
又かなり病気が進んでくると、血管が詰まった結果、血液を送るための別のルートを作ろうとして、本来見られない場所に新しい血管(新生血管)を作ります。この血管はもろく出血しやすく、網膜の表面や眼球内の出血(硝子体出血)を起こしやすくなります。破れた血管のあとから、本来なかった薄い膜状の増殖膜が形成され、網膜を引っぱり網膜はく離を起こすこともあります。網膜はく離が黄班部に及ぶと視力にも影響してきます。





   
網膜の血管の異常が分かれば、新生血管が出たり、網膜はく離を防ぐために、病変部をレーザー光で凝固する治療を行います(光凝固法)。

   
糖尿病性網膜症は徐々に進行しますが、進行しても視力低下などの自覚症状はほとんどありません。放置していると、ある日突然失明という最悪の状態にもなりかねません。内科での糖尿病のコントロールとともに、眼科での定期的な眼底検査を受けるようにしましょう。